|発想について|
「茶は静かに流れるような芸術であり、手の仕草が囁き、物が吟ずるようで、自然に会話が生まれます。」
中華茶文化と日本の茶道は、発祥時代からの発展を経て、多くの面で密接に相互影響を与えてきました。もし区別を設けて比較するのではなく、融合や折衷の方法論を展開するならば、開放的で自由な並立状態に達することができるのではないでしょうか。
茶道v.sプロダクトデザインは、一見関連性がないように思える二つの分野ですが、どちらも使用体験に視点を置き、ユーザーを中心に考える思考ロジックを持っています。また、生活工芸も暮らしや人の需要を探り、問題解決のための創作過程です。この三者の間には「Form follows function.」という共通の美学本質が存在しているように思います。
泊・月白は、日々において器作品を通じて台湾茶と日本茶の同異性を繋ぐチャネルとして提供し、固定観念の枠を取り払い、両者の絞られてきた知恵に焦点を当てることを望んでいます。しかし、異なる茶道のプロセスに対応するために多くの道具を用意することは、特に外出時に不便です。また、来客のフィードバックから、忙しい日常の中でも手軽にお茶を楽しみたいという要望をよく聞きました。
現代茶のニーズに従って、私たちは陶芸家の楊育睿氏と話し合い、各種の茶葉の抽出や抹茶点前の機能をカバーし、かつ持ち運びやすいシンプルなフォルムを考案しました。アイデアの発散と収束を繰り返し、多くの試作と調整を重ね、ここで念願の共同作品を披露します。
|物づくりの哲学|
「片口蓋碗」
中国・台湾茶の蓋碗と日本の宝瓶の造形を融合したこの器は、玉状、葉っぱ状や細長い形の色んな茶葉の抽出に適用。持ち手のない丸みを帯びたデザインは、抹茶を点てる際茶筅の当てる角度を考慮しており、持ち運び時のぶつかるリスクも軽減します。
小さくスリムな注ぎ口は、滑らかで切れの良い注ぎを。茶海(湯冷し)を省いて直接茶杯に注ぐことも可能です。わずかに外側に広がった縁は、違う持ち方に対応し、安定して高温の茶湯を注ぐことができます。
「茶棗杯」
茶杯が茶湯を飲むことにおいて、また棗(茶入)が茶道の中に鑑賞や抹茶粉を入れておく役割としては不可欠な存在であるように、「香合」の様に上下嵌めで組合わせた二つの杯を容器として用い、茶葉や抹茶粉が中に収まります。蓋を開けて香りを楽しむ様子は、まるで香道における聞香の趣が感じるでしょう。
「革物茶箱」
桐箱の綴じ紐付きのデザインに着想を得て、日本での生活から美学を積み重ねてきた台湾のレザーデザイナーYUFANG に、特製ケースを依頼しました。植タンニン鞣し革の天然な柔らかさと弾力が程よい緩衝材となり、収納する茶器に合わせて調整できる高さや、四隅の編み込みの細部が滑りにくい工夫を施しています。
|作家の思い|
「同心円」
- 波紋は広がる結界を象徴し、無形の意識の境界を表します。
「白翡翠のような白、鉱石のような青」
- 古代の青磁釉薬は、その誕生の多くが焼成地の地質組成に関係しています。無機物が高温の窯で焼かれることで、神秘的な有機変化をもたらします。自然界には元々純白の釉薬を作り出せる鉱物は存在しません。ピュアな色彩を追求するのは、透けた質感で、淡い青を帯びた白翡翠に近づくためです。
「器物」
- 一つの「容器」から簡潔でありながら独特な輪郭を見つけ出し、物が使われることで美しさが引き立つ。
|內容と寸法|
片口蓋碗:Ø10.5、 H7.5c m ,容量約120ml(滿水)
茶棗杯:Ø6.5、 H5 cm,単体高さ2.5cm、容量約25ml
日本磁土、鉄鉱粉で発色する青磁釉
革物茶箱:W12 x D12 x H7 cm
収納の高さは上下に調整可能。
イタリア製植タンニン鞣し牛革、リネン帯を使用。
- 作品はすべて作家の手作りであり、それぞれに個体差があります。
|日本初露出|
第1弾の旅行茶器+革物茶箱の限定セットは、5月30日から6月2日までの東京グループ展で初登場します。 海外イベント終了後、台湾での正式販売をどうぞお楽しみに。
Project producing_ 泊・月白 moonmist
Porcelain artist_ 楊育睿 Yu-Jui Yang
Leatherware_ YUFANG
Tea sommelier & Product Creation_ Kai-Ting,Lin
Text & Photo_ Kai-Ting,Lin
備考:作品および文章写真の著作権は泊・月白と関連作者に帰属します。
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